労災保険⑦ ~遺族(補償)等給付~
第七回は遺族(補償)等給付についてです。
Contents
遺族(補償)等年金の受給権者・受給順位
順位 | 労働者の死亡当時、労働者の収入によって生計を維持していた | 備 考 |
1 | 妻(事実婚含む) | |
60歳以上の夫(事実婚含む) | 一定障害(*)にある場合は、年齢要件不問 *障害等級第5級以上の障害状態にある等 | |
2 | 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子 | |
3 | 60歳以上の父母 | |
4 | 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある孫 | |
5 | 60歳以上の祖父母 | |
6 | 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある兄弟姉妹、 または60歳以上の兄弟姉妹 | |
7 | 55歳以上60歳未満の夫 | 60歳に達するまで支給停止(若年停止) |
8 | 55歳以上60歳未満の父母 | |
9 | 55歳以上60歳未満の祖父母 | |
10 | 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹 |
遺族(補償)等一時金の受給権者・受給順位
順位 | 労働者の死亡当時 | 備 考 |
1 | 配偶者(事実婚含む) | |
2 | 労働者の収入によって生計を維持していた子 | 同順位者が2人以上いる場合は、それぞれ受給権者となる。 |
3 | 労働者の収入によって生計を維持していた父母 | |
4 | 労働者の収入によって生計を維持していた孫 | |
5 | 労働者の収入によって生計を維持していた祖父母 | |
6 | (順位2)に該当しない子 | |
7 | (順位3)に該当しない父母 | |
8 | (順位4)に該当しない孫 | |
9 | (順位5)に該当しない祖父母 | |
10 | 兄弟姉妹 |
遺族(補償)等年金および特別支給金の額
遺族の数 | 遺族(補償)等年金 | 特別支給金 | |
遺族特別支給金 | 遺族特別年金 | ||
1人 | 給付基礎日額の153日分 *55歳以上または一定障害にある妻の場合は、175日分 | 300万円 | 算定基礎日額の153日分 *55歳以上または一定障害にある妻の場合は、175日分 |
2人 | 給付基礎日額の201日分 | 算定基礎日額の201日分 | |
3人 | 給付基礎日額の223日分 | 算定基礎日額の223日分 | |
4人以上 | 給付基礎日額の245日分 | 算定基礎日額の245日分 |
*給付基礎日額は、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額である。
*算定基礎日額は、次の①~③のうち最も低い額を365で除して得た額である。
①負傷または発病の日以前1年間に、労働者に対して支払われた特別給与(3か月を超える期間ごとに支払われる賃金)の総額(算定基礎年額)
②給付基礎日額に365を乗じて得た額の20%相当額
③150万円
*複数事業労働者の給付基礎日額および算定基礎日額は、原則として就業先ごとに計算した額の合算額となる。
遺族(補償)等一時金および特別支給金の額
労働者の死亡当時、遺族(補償)等年金を受ける遺族がいない | 遺族(補償)等一時金:給付基礎日額の1000日分 遺族特別支給金:300万円 遺族特別一時金:算定基礎日額の1000日分 |
遺族(補償)等年金の受給権者がすべて失権した場合で、受給権者であった遺族の全員に対して支払われた年金額と遺族(補償)等年金前払一時金の合計額が、給付基礎日額の1000日分に満たない | 遺族(補償)等一時金 給付基礎日額の1000日分から、すでに支給された遺族(補償)等年金等の合計額を差し引いた額 遺族特別一時金 算定基礎日額の1000日分から、すでに支給された遺族特別年金の合計額を差し引いた額 |
*給付基礎日額および算定基礎日額は、「遺族(補償)等年金および特別支給金の額」のときと同じ。
遺族(補償)等年金前払一時金の内容
■遺族(補償)等年金の受給権者は、請求により1回限り年金の前払いを受けることができる。
若年停止により年金の支給が停止されている場合でも、前払いを受けることが可能。
■給付基礎日額の200日分/400日分/600日分/800日分/1000日分のうちから選択して請求する。
■前払一時金が支給されると、遺族(補償)等年金は、各月分(1年経過後の分は法定利率で割り引いた額)の合計額が、
前払一時金の額に達するまで、支給停止される。
遺族(補償)等給付の請求
区 分 | 請求書 | 提出先 | |
遺族(補償)等 年金 | 業務災害 複数業務要因災害 | 遺族補償年金・複数事業労働者遺族年金支給請求書 (様式第12号) | 所轄労働基準監督署 |
通勤災害 | 遺族年金支給請求書 (様式第16号の8) | ||
遺族(補償)等一時金 | 業務災害 複数業務要因災害 | 遺族補償一時金・複数事業労働者遺族一時金支給請求書 (様式第15号) | |
通勤災害 | 遺族一時金支給請求書 (様式第16号の9) | ||
遺族(補償)等年金前払一時金 | 共通 | 遺族補償年金・遺族年金前払一時金請求書 (年金申請様式第1号) |
葬祭料等(葬祭給付)の内容
■労働者が業務上または通勤により死亡したとき、葬祭を行う者(通常は、遺族)が請求する。
■支給額は、315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額
(この額が給付基礎日額の60日分に満たない場合は、給付基礎日額の60日分)である。
■請求方法
遺族(補償)等給付とあわせて請求することもある。
<業務災害・複数業務要因災害>
葬祭料または複数事業労働者葬祭給付請求書(様式第16号)を、所轄労働基準監督署に提出
<通勤災害>
葬祭給付請求書(様式第16号の10)を、所轄労働基準監督署に提出
*給付基礎日額は、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額である。
*複数事業労働者の給付基礎日額および算定基礎日額は、原則として、就業先ごとに計算した額の合算額となる。
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